昭和基地からS16までのルートが開通したので,ようやく自分の任務である雪尺観測に取り掛かることができる.

雪尺(ゆきじゃく),噛み砕いて言えば,積雪の深さを測る定規ということになる.でも,地面の深さがよくわからない.積雪の深さ自体は測定が難しい.そこで,ルート上に目印として設置してある『ルート旗』の高さを毎年測定することで,南極の雪や氷が増えているかどうかを調べるというものである.

ルート旗は,赤い旗を使うので,通称『赤旗』と呼ばれる.また,ルート以外の目印として『青旗』が使われる.

今回の任務は『とっつき岬―S16』間の約17km上の雪尺観測.旗の数は50本以上.旗の間隔は最大で500m程度.時速10kmで走行していると,数分ちょっとで降りて測っての繰り返しとなる.前年まで使っていたルート旗は,80cm以下だったり,斜めだったり,紛失していたりすると立て直しとなる.

長い南極観測事業の中で毎年データが蓄積されていく.国内にいる研究者たちによって,様々なデータと合わせて解析され,地球の気候変動などの研究に活かされていくのだ.

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前年まで使っていたルート旗と新設のルート旗.古い旗が設置時は雪から2m近い高さだったことを考えると,風が強くて雪が飛ばされているようにみえるこの場所でも,長い目でみると雪が積もっていることを実感する.

 

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よく晴れてこの日の晩は−40℃になった.大型雪上車の中は食堂となる.